西生駒高校200X Wiki - LCoNDC08 Diff
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!題名
小説『探偵部倶楽部最後の事件』
Part8.ハウダニット
!!!責任者
[[miburo]]
!梗概
検視報告と心理戦の開始
!本文
66箇所。死体にあった刺創の数だ。
光太郎と美沙希の寝室の窓を少し開けた即席の霊安室で、医学部生の操が簡
単に死体の状態を調べた。
「首への一撃を除いて、巧妙に急所を避けているわ。そして大部分は抵抗でき
てない。多分、最初の数撃で戦闘力を奪われて後は……」
その後を引き取って余計なことを言う者はいなかった。操は続ける。「偏執
的にえぐった数が多いし、何種類か刃物を使い分けてる。どれも異常に鋭いし、
手際もいいわ」
「つまりプロの腕でやつに恨みを抱いているか変態か、というわけか」「両方
ってこともありえるね」
静かな迫力を湛えて美沙希が、いつもの軽さを抑えて葬希が、言う。リビン
グには全員集まっていた。おとなしく操の検案報告を聞く様は、まったく探偵倶
楽部らしからぬ光景だ。
「死亡からの経過時間は?」
「死斑の具合から、4時間以上はたぶん経過してると思う。あと、8時間より
長くはない」
「あんまり参考にならないなぁ」
「しかたないわ。法医学は専門外だし、機材もないし。あとずいぶんと血を流
してるから教科書どおりの死斑じゃない」
「雪の積もり方を見ても4時間以内ってことはないだろうな。最後に光太郎を
見たのは誰だ」「多分私だ」
美沙希だった。
「人に会う約束がある、と言って12時前くらいに出て行った」
「帰ってこなかったのに、探しに行かなかったの?」
「そのまま帰ってこないつもりかと思ったからだ」
パキ、と暖炉の薪がはぜた。窓の外は昨晩のように雪嵐になりはじめている。
部員達は無言で美沙希に視線を集中させた。
「……つまり、会う予定だったのはやつの元許婚だ」
光太郎には許婚がいる、という情報はおととしの夏、彼女の母親によっても
たらされていた。彼女自身の恬淡とした態度から尾を引く話題にはならなかっ
たが。
「部長って意外と乙女ちっくだったもんなぁ」
葬希が椅子にもたれてつぶやく。そして自分の使った過去形に傷ついて天井
の電灯を見やった。
「とりあえずその許婚とやらの動きを把握する必要がある。美沙希くん、連絡
は取れるのかね」
「茶番はよせ当麻」
叱声と言ってもいい響きだった。彼女の硬質な肌には、いつもにまして無表
情な影が浮かんでいる。
「『痕跡』はなかった。そうだろう」
「または俺達が感知できないレベルでの隠蔽か、だ」
「外へ逃げる奴がそんなことするか?」
「俺達を疑心暗鬼にさせるつもりかもしれない」
「つ、月影さん、当麻さんっ」
にらみ合いながら『異能』に絡む話を堂々とする二人に、みのりが割って入
った。みのりから見れば、葬希も九法も操も一般人だからだ。漣だけが、操が
テレパスであることを知っている。
美沙希は強烈な視線を一瞬むけてみのりを黙らせ、さらに続ける。
「それに『彼』はやつを殺せるような人間じゃない」
「根拠は」
「技量が足りない」
「そう思わされているだけだとしたら」
「どのみちお手上げだ。尻尾をつかむことなどできないだろう」
「ねえ!」今度は葬希がいらだったようにさえぎった。「何の話をしているの
さ」
「美沙希君は、許婚君ではなく俺達の中に犯人がいると考えているらしい」
漣が美沙希から目を離し、ゆっくりと言った。
「む」
「そりゃまあ、あの嵐の中を犯人が下山して行くのは難しいだろうしねぇ」
腕を組む九法の隣で、案外納得した顔の葬希が答えた。
「凶器は……雪の中に隠しておけばいいか」
「それだと溶けたらばれるから、俺達を皆殺しにして雲隠れしかないぞ」
「オウ」
「当麻、お前ならすでに視たはずだ」
核心に至る議論に乗らない漣を疑うように、美沙希は冷たく言い捨てた。漣
の操る怪異虫がロッジの周辺を探索していたことは、異能者なら誰でも気づい
ている。
「だいたい、やつに原形に戻る隙も与えず斃すなど常人には不可能だ」
美沙希は席を立った。
彼女は知っている。漣の秘儀が怪異虫の操作にあることを。しかし美沙希は
捨てきれない。彼がそれ以上に刃物での近接戦闘の熟練者である可能性を。非
能力者や攻撃能力の低い他の部員がそうであるより、漣がそうである可能性を
高く見積もるのに不思議は無かった。
「県警といえば、警察に連絡をした方がいいですよね」
「さてな」みのりにそう答えて漣も煙草の箱をくしゃりとつぶし、予備を取っ
てこようと階段に向かった。
「常人には無理、か。なんたってあの部長だもんなぁ」
「俺にはむしろ『どうやってやったか』が気になるね」
漣は階段を上りながら。
「あいつに不意打ちで一杯食わせるってのは、俺も一度はやってみたかったよ」
どこまでも不謹慎なその声は、ひどい苦さに満ちていた。
!PCの言動についての要望
!展開についての提言
!メモ
*引越しでネットにつなげないので、とりあえずうp。読んでてだるくなる。推敲する暇が無かったれす。さくさくあげてりゃプレッシャーにもなるっぺよ(ぉ
*時間その他の情報は仮置きなので、のこたんとれあなさんの書いたパートにあわせます。こっちに合わせなくていいです。
*許婚の能力とかみさきちの言動とかはデータ不足なんで適当です。れあなさんツッコミよろしう。
*次回は恋人に疑われた上死亡フラグが立つ操たんハァハァですよ。
*赤目キャラが多すぎる件。
*ここまできてようやく九法が一言しゃべった。誰か何とかしてください。
!作品リンク
*[[次のページ|http://]]|LCoNDC09]]
*[[探偵倶楽部最後の事件]]
!資料リンク
!リンク
*[[話題まとめ]]
小説『探偵部倶楽部最後の事件』
Part8.ハウダニット
!!!責任者
[[miburo]]
!梗概
検視報告と心理戦の開始
!本文
66箇所。死体にあった刺創の数だ。
光太郎と美沙希の寝室の窓を少し開けた即席の霊安室で、医学部生の操が簡
単に死体の状態を調べた。
「首への一撃を除いて、巧妙に急所を避けているわ。そして大部分は抵抗でき
てない。多分、最初の数撃で戦闘力を奪われて後は……」
その後を引き取って余計なことを言う者はいなかった。操は続ける。「偏執
的にえぐった数が多いし、何種類か刃物を使い分けてる。どれも異常に鋭いし、
手際もいいわ」
「つまりプロの腕でやつに恨みを抱いているか変態か、というわけか」「両方
ってこともありえるね」
静かな迫力を湛えて美沙希が、いつもの軽さを抑えて葬希が、言う。リビン
グには全員集まっていた。おとなしく操の検案報告を聞く様は、まったく探偵倶
楽部らしからぬ光景だ。
「死亡からの経過時間は?」
「死斑の具合から、4時間以上はたぶん経過してると思う。あと、8時間より
長くはない」
「あんまり参考にならないなぁ」
「しかたないわ。法医学は専門外だし、機材もないし。あとずいぶんと血を流
してるから教科書どおりの死斑じゃない」
「雪の積もり方を見ても4時間以内ってことはないだろうな。最後に光太郎を
見たのは誰だ」「多分私だ」
美沙希だった。
「人に会う約束がある、と言って12時前くらいに出て行った」
「帰ってこなかったのに、探しに行かなかったの?」
「そのまま帰ってこないつもりかと思ったからだ」
パキ、と暖炉の薪がはぜた。窓の外は昨晩のように雪嵐になりはじめている。
部員達は無言で美沙希に視線を集中させた。
「……つまり、会う予定だったのはやつの元許婚だ」
光太郎には許婚がいる、という情報はおととしの夏、彼女の母親によっても
たらされていた。彼女自身の恬淡とした態度から尾を引く話題にはならなかっ
たが。
「部長って意外と乙女ちっくだったもんなぁ」
葬希が椅子にもたれてつぶやく。そして自分の使った過去形に傷ついて天井
の電灯を見やった。
「とりあえずその許婚とやらの動きを把握する必要がある。美沙希くん、連絡
は取れるのかね」
「茶番はよせ当麻」
叱声と言ってもいい響きだった。彼女の硬質な肌には、いつもにまして無表
情な影が浮かんでいる。
「『痕跡』はなかった。そうだろう」
「または俺達が感知できないレベルでの隠蔽か、だ」
「外へ逃げる奴がそんなことするか?」
「俺達を疑心暗鬼にさせるつもりかもしれない」
「つ、月影さん、当麻さんっ」
にらみ合いながら『異能』に絡む話を堂々とする二人に、みのりが割って入
った。みのりから見れば、葬希も九法も操も一般人だからだ。漣だけが、操が
テレパスであることを知っている。
美沙希は強烈な視線を一瞬むけてみのりを黙らせ、さらに続ける。
「それに『彼』はやつを殺せるような人間じゃない」
「根拠は」
「技量が足りない」
「そう思わされているだけだとしたら」
「どのみちお手上げだ。尻尾をつかむことなどできないだろう」
「ねえ!」今度は葬希がいらだったようにさえぎった。「何の話をしているの
さ」
「美沙希君は、許婚君ではなく俺達の中に犯人がいると考えているらしい」
漣が美沙希から目を離し、ゆっくりと言った。
「む」
「そりゃまあ、あの嵐の中を犯人が下山して行くのは難しいだろうしねぇ」
腕を組む九法の隣で、案外納得した顔の葬希が答えた。
「凶器は……雪の中に隠しておけばいいか」
「それだと溶けたらばれるから、俺達を皆殺しにして雲隠れしかないぞ」
「オウ」
「当麻、お前ならすでに視たはずだ」
核心に至る議論に乗らない漣を疑うように、美沙希は冷たく言い捨てた。漣
の操る怪異虫がロッジの周辺を探索していたことは、異能者なら誰でも気づい
ている。
「だいたい、やつに原形に戻る隙も与えず斃すなど常人には不可能だ」
美沙希は席を立った。
彼女は知っている。漣の秘儀が怪異虫の操作にあることを。しかし美沙希は
捨てきれない。彼がそれ以上に刃物での近接戦闘の熟練者である可能性を。非
能力者や攻撃能力の低い他の部員がそうであるより、漣がそうである可能性を
高く見積もるのに不思議は無かった。
「県警といえば、警察に連絡をした方がいいですよね」
「さてな」みのりにそう答えて漣も煙草の箱をくしゃりとつぶし、予備を取っ
てこようと階段に向かった。
「常人には無理、か。なんたってあの部長だもんなぁ」
「俺にはむしろ『どうやってやったか』が気になるね」
漣は階段を上りながら。
「あいつに不意打ちで一杯食わせるってのは、俺も一度はやってみたかったよ」
どこまでも不謹慎なその声は、ひどい苦さに満ちていた。
!PCの言動についての要望
!展開についての提言
!メモ
*引越しでネットにつなげないので、とりあえずうp。読んでてだるくなる。推敲する暇が無かったれす。さくさくあげてりゃプレッシャーにもなるっぺよ(ぉ
*時間その他の情報は仮置きなので、のこたんとれあなさんの書いたパートにあわせます。こっちに合わせなくていいです。
*許婚の能力とかみさきちの言動とかはデータ不足なんで適当です。れあなさんツッコミよろしう。
*次回は恋人に疑われた上死亡フラグが立つ操たんハァハァですよ。
*赤目キャラが多すぎる件。
*ここまできてようやく九法が一言しゃべった。誰か何とかしてください。
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